にしもの筆記帳

永藤呉服店店主 筆記帳かわりにつかってます。

夏をやりすごす

前回の更新が「やっさ祭り」。
わたしはこの1ヶ月何をしていたんだろう。12ヶ月ある一年の中で最も苦手な8月。世間では夏は活動的になる季節らしいのだが私はめっぽう暑さに弱い。おまけにクーラーや扇風機などの機械類に頼るとすぐ体調をくずしてしまう。だから私はずっと土の中で眠るセミのように夏が過ぎるのを待つ。たとえ他のセミが土の中から出て、木に登り、命を燃やし、鳴いて、短い青春を謳歌していようとも、私は夏をスルーしたい。それでも夏の雰囲気は嫌いではない、山の緑、海の青、夏の着物などは見るだけで愛らしく思う、だけれどあの炎天下のアスファルト馬鹿野郎の上を歩くのは嫌いだ、どうしてあんな重油の塊を地面に敷くのかセンスを疑う。ガンガンに熱せられた油塊の上は居心地が悪すぎる。「わしゃお好み焼きかっ!!」と言いたくなる。立ち上る空気にも油が溶け出しているかのような錯覚を覚えるし、なにしろ雪駄や草履の裏も溶けてしまうのではないかとおもってしまう。だから今日はほんの少し涼しくなってちょっと嬉しい。