にしもの筆記帳

永藤呉服店店主 筆記帳かわりにつかってます。

仕立てる1

  • まず、着物を手に入れる方法を考えてみて。

1・古着を手に入れる。
2・仕立て上がりの着物を手に入れる。
3・反物を手に入れて仕立てる。
と、大雑把にいえば3通りあると思うんですけど。
まず1に関しては以前の持ち主が2または3の方法で手に入れたものを古着屋で買うなり知り合いから貰うなりして手に入れます。勿論その以前の持ち主と体形体格性別などが合えばそのまま着れます。着て下さい、さっさと着て出かけて下さい。それでOK。

次に2。主に仕立ててある着物。大体プレタとか首つりなど呼ばれてる商品になります。大体サイズはM・Lのサイズ展開をしてる事が多いですね。まぁこれもサイズが最初から決まってますから、体形体格性別など合えばそのまま着る事が可能です。さぁさぁ着て下さい。帯は何色が良いでしょうかね。今日は着物おでかけ日和ですよ。着ましょう。

んで最後に3おしたて。ウン十年でも着物生活をしていて、実は仕立てを頼んだ事がないって方が少なくないんですな。元々1も2も布から出来ているので一度は反物と呼ばれる状態からつくられることになります。(たとえ洋服生地でもメートル幅の反物ではあります)。
当たり前のことですけど、この反物を縫製する事によって着物になります。必要な布の量さえあれば着物だけじゃなく羽織にもなりますし長襦袢にすることもできます。もちろんTシャツにもなります。

  • 仕立てるのは誰がする

これは簡単2つしかありません自分で縫う他人に縫ってもらうのどちらかです。
自分で縫えますか?と聞かれれば私は「めんどくさいけど何とかなります」と答えます。実際浴衣と襦袢ぐらいは私でも仕立てられます(ひでー出来ですけど)本屋などに行けば和裁(着物など和服を縫う)本は大体おいてあります。他にも和裁教室など和裁を教えてくれる場所もあるので時間と集中力さえあれば自力でなんとかなります。
「えーむりー時間もないしー」という方には他人に縫ってもらうしかありません。お気に入りの反物は蔵に寝かせておいても着物にはなりません、もちろんアナタが鶴を助けていれば夜中にやってきて着物を縫ってくれるかもしれませんが、たぶん来ません。絶対来ません。もちろん妖精も来てくれやしません。なので誰か和裁のスキルがある人に縫ってもらうしかない訳です。

  • 仕立てを誰に頼む?

その昔はお母さん、おばあちゃん、嫁さんなどが和裁のスキルがあり家で仕立てるということがあった時代でも本職つまりプロの和裁士がいました。もちろん現在でもその数は少なくなりましたが和裁士さんは存在します。その方にお願いするのです、もちろんそれなりの対価を支払ったうえです。

ちょっと愚痴になりますが「チャチャチャと縫ってよ」と和裁士さんへ言う方がいますがプロの仕事にサンバもジルバもチャチャチャもありません、マジ縫いです、マジで縫うから和裁士と「士」がつくんです。かあちゃんに雑巾縫ってもらうんじゃないんですからプロの仕事を頼んで下さい。

で、その和裁士さんの居場所ですが和裁士としてブログやってたり教室を開いていたりします。そこへ連絡を取ってお願いしましょう。他には着物屋おかかえといって呉服屋、着物屋と契約を結んで魔法少女 和裁士をしている方がいます。その方に頼むには着物屋を通してお願いする事になります。(そこらへんの仕組みは気が向いたら)

まず和裁にもある程度、知識のある着物屋を選んだほうがいいです。パートのおばちゃんばかりの店ではプレタ寸法みたいにされてしまいます。せっかくお金払って仕立ててもらうんですからめっちゃくちゃワガママ言いましょう。言っちゃいましょう。遠慮することはないです。それが着物屋や和裁士さんの仕事なんですから、でも物理的に無理な事は無理っていいます、その時は代案を出してきますのでしっかり打ち合わせしましょう。その着物を着るのはアナタなんですから納得いくまで話し合いましょう。わからない事はちゃんと聞いた方がいいです、それをウヤムヤにする着物屋さんはちょっと怪しいかもしれません。どんどん突っ込んでみましょう。

着物屋は着物を着るアナタの為の道具です、道具は手になじむまでしっかり使うのが大事です。
(今日の一番いい発言これ)




柄出しパターンの実例



で、色々うちあわせをすれば、あとは着物屋と和裁士さんが勝手に色々考えてあーするこーすると考えて縫ってくれます。そりゃそうです、どっちもお金をいただきますからプロの仕事です。これができてない所には近づかない方が良いですよ。あとは通常2〜3週間ほど待てば出来上がります。超特急で2、3日という場合もありますが仕立てる人も人間なのであんまり急かすとミスがでやすくなります。他のお客さんの物もありますしね。なのでゆっくり待って下さい。仕立てに慣れている方だと「この待つ時間が一番楽しい」などMっ気たっぷりの方もいます。

と、大体こんな感じで出来上がった着物が手元に届くわけです。ミスや寸法間違いなどがなければすぐに着れるアナタの着物の出来上がりです。さあ着ましょう。

※店、和裁士さんそれぞれの考え方と金額設定がありますので、○○円なら高い安いなど金額的な事について言及しません。