にしもの筆記帳

永藤呉服店店主 筆記帳かわりにつかってます。

今日何着る? 体感か気温かルールか


*あくまで私の思い込み、体感、季節感で考察しています。
*そこんとこよろしくです。


今朝は少し肌寒くて綿襦袢に綿着物にしたのですが、
洋服だと「そろそろ寒いから長袖かなー」と言っても誰も何も言わないのですが、
着物の場合はいろんな要素があってなかなかコレが判断しにくいものです。
ちょっと軽く考察してみようかなと思います。
今日は普段着着物に限定しておきます。礼装のアレコレついてはまた後日。


  • 全国統一ルール(笑)では9月は単衣。

『カレンダーが9月になれば強制的に単衣を着るべし!!』というルールがあります。ですが守らないからといっても誰もなにも被害をこうむる事はありません。『大体9月になれば涼しくなるから単衣を着た方が無難だよ』ぐらいの意味で設定されているのですが、着物が生活から離れている昨今。他に基準になるものがないので全国統一ルール(笑)に頼る方が多くなりました。ただ今回は普段着着物としての考察なので礼装の基準になっている全国統一ルール(笑)を基準にするのはふさわしくありません。

  • 気温を基準に置いた場合

9月と言っても気温の差があり35℃を超える日ならば8月に引き続き薄物、浴衣が楽です。今日のように23℃前後の日だと綿襦袢に綿着物がベストに近い。私個人的には夏物の透ける素材から目の詰まった単衣に切り替えのタイミングは27℃前後を判断基準に置いています。綿絽などの明らかに透ける素材でないならば薄い綿着物に襦袢でも問題ないと思います。

補足:私個人的には浴衣は浴衣と言う着方があるだけで着物としては薄い綿単衣だと認識しています。この考察も後日。


  • 体感、季節感を基準に置いた場合

やはり9月も半ばを過ぎると、夏場の殺人的な日差しが幾分やわらいできます。これは毎年決まった日に日差しがやわらぐと決まっている訳ではありません。

日陰に入ると風がサーッと抜けるのを感じたり、秋刀魚が美味しく感じたり、燗した日本酒が恋しくなったり、ここら辺はその人の季節感というか感性ですね。何年か着物生活をしていると、その外的要因と気温が変わる時期と着物がしっくり来る時があります。

日本は四季がありそれに合わせて動植物も動いています。人間も天然自然の一部なので、四季に合わせて四季を感じながら着る物を替えていく事もできます。例えば今の時期なら夜コオロギの声が聞こえますよね、コオロギは8月中頃に成虫になり9月10日前後から鳴きます、昔の人は「コオロギがつづれさせ!(縫物をしろ)と鳴くので衣替え」と決めていたという話を聞いた事があります。それに合わせて薄物をしまって目の詰まった単衣を着てみるのもいいと思います。

この場合には、ココをこうしたら良いとかハッキリとは言えないんですが、ファジーと言うか、あいまいと言うか、風流というか、そのなんとも言えない感じを感じる事ができるのは、この四季のある国に生まれた人の特権でしょう。
感じたままに着たい着物を着るのもアリだと思います。

  • んで。結局何着たらいいのか。

なんでもいいです。
9月は季節の変わり目なので着る物の移行期間であると考えていいんじゃないでしょうか。学校の制服でも夏服と冬服どっちでもいい時期ってあったと記憶してますがあれと同じようなものです。

着物って色々決まりがあって、人に聞くとか、教科書的なものを見るとかで、自分で考えず、人とか雑誌とかに教えてもらう癖がついているんじゃないかと思うんです。普段の自分が着る物ぐらいは自分で考えたらいいんじゃないでしょうか?暑けりゃ薄いの着ればいいし寒けりゃ厚いの着ればいいんですよ。

ただ何度も言いますが礼装の場合は違います、礼装を着る場合はその場のルールって物があります、サッカー試合で手を使っちゃいけないのと同じです。ただサッカーの試合をしてない時にサッカーボールを手で持っちゃいけない事はありません、サッカーボールでバスケやってもいいじゃないですか、それが普段着。

普段着着物を着る事に躊躇や迷いがある方は、
【普段着だから】という免罪符を活用すればいいんじゃないでしょうか。


つまり、最初に戻るんですけど結論としては「普段着だから着たいものを着ればいい」
個人的に普段から色んな方に着物を着てもらいたい想いがありますので、
チャンスがあればドンドン着てもらいたいです。

みんな全ての季節の着物を持っている訳じゃないです。
手持ちの着物が少なかったらしょうがないけど浴衣着ましょう。
さすがに浴衣じゃ寒いならちょっと早いけど袷でもいいじゃないですか。
着物を着たいっ!ってチャレンジする気持ちを汲み取りたいと思ってます。








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